金やプラチナのシンプルな結婚指輪から、凝ったデザインのメンズリングまで―。
今日は、谷口宝石のジュエリー職人、ティム・フィリップが制作させて頂きました オーダーメイドの指輪 をご紹介します。
現在、谷口宝石ではジュエリーリフォームのご相談が非常に多く、リフォーム専門ブログにてリフォームの実例をご紹介することが多いのですが、ジュエリー職人の本領発揮、オーダーメイドもいろいろとご依頼を頂いております。
実は、リフォームも含め、ティムには 指輪を作るときにある「こだわり」が...。今日はオーダーメイドの作品とともに、ティムの指輪づくりのこだわりをご紹介します。
【A】シンプルな金の結婚指輪。海外から来られた広島在住のお客様 からのご依頼で制作させて頂きました。
谷口宝石では職人がニュージーランド出身ということもあり、海外出身のお客様から、修理やリフォームのご相談を受けることも多いんですよ。
故郷に残してきた婚約者様に贈る結婚指輪。シンプルな18金の甲丸リング なので、もしかしたら既製品を購入されたほうが安かったかもしれませんが「ぜひティムさんに...」ということで、谷口宝石で制作させて頂きました。
制作工程を一部ご紹介します。この工程の中に ティムの職人としてのこだわり が隠れていますよ。
【1】まずは材料となる地金約900℃まで熱して溶かします。
【2・3】溶かした金を 叩いて鍛える→熱する→叩いて鍛える を何度も繰り返します。焼きなまし と呼ばれる工程で、これにより金属の密度が高まり 硬く強靭なジュエリー が生まれます。
【4】丸棒という工具を使い、地金を丸めて指輪のカタチにします。
【5・6】地金と同じ素材で作った18金のワイヤー を溶かして、指輪の切れ目をしっかりと閉じます。
【7・8】角を削って甲丸にカタチを整え、ピカピカに磨いて完成です!
さて、ティムのこだわり、どこだか分かりましたのでしょうか?
答えは工程【5】の部分、リングの切れ目を閉じるとき です。
通常、サイズ直しなど指輪の切れ目をつなぐときは ロウ材 と呼ばれる地金よりも少し低い温度で溶ける素材を用いて、ロウ付けという手法 で行います。
ロウは地金より早く溶けるので、簡単につなぎ目を接着することが可能です。
ですが、溶けやすいロウ材は、地金とは異なる成分。言うなれば 指輪にとって異物 です。
当店の職人のティムは、指輪を一から地金を溶かして作るとき、それは The beginning~はじまりの瞬間 だと考えています。
特に結婚指輪や婚約指輪は、そこからお二人の新しい生活のスタートする大切な指輪。異素材のロウを使うと、目では見えなくてもそこに 切れ目 が生じてしまいます。切れ目のない完璧な円の指輪 をつくるために、指輪と同じ地金でワイヤーをつくり、それを溶かしてつなぎ目を閉じるようにしているそうですよ。
この方法は 共付け と呼ばれ、ジュエリー職人の経験と熟練した技術を必要とします。火が弱いとワイヤーが溶けず、火を入れすぎると指輪本体の地金まで溶けてしまう...、炎を完璧にコントロールし、一瞬のタイミングを見極める職人の腕 が問われる方法なんですよ。
職人が普段、自らものづくりへの想いを語ることはありませんが、切れ目のない指輪づくり にこだわる谷口宝石の職人・ティムの想いを、ぜひ皆さまにも知って頂けたらと幸いです。
さて、他の制作事例も簡単にご紹介いたします。
【B】【C】はプラチナ地金で制作させて頂いた頂いた結婚指輪。
【B】は ご両親の結婚指輪を溶かして素材として使ってほしい とのご依頼で、ご両親の結婚指輪を溶かして、新しい結婚指輪にリフォームさせて頂きました。
【C】は、奥様が結婚指輪をなくされたそう。旦那様の指輪を見本に同じカタチで作ってほしい とのご依頼で、同じデザインでメレダイヤ入りのものを作らせて頂きました。
【D】は、婚約指輪&結婚指輪の3点セット。お客様がご自身で描かれたデザイン画 をもとに、ティムが実際のカタチに仕上げました。こちらのブログ記事で詳しくご紹介していますよ。
【E】は、谷口宝石の社長が遊びゴコロで思いついたデザインを、ティムがカタチにした サイコロリング。ボルトのようなデザインの6角リングの各面に、サイコロのようにメレダイヤを1~6まで埋め込みました。
こちらは現在、店頭で販売中。ご興味のある方は、お店で見てみてくださいね。
【F】こちらは、今年制作した中で一番複雑なデザインの指輪 です。
20年来の常連のお客様からのご依頼で制作させて頂いた アンティーク風のメンズのデザインリング。デザイン~指輪の成型はもちろん、気が遠くなりそうな 細かいミル打ちまで全て手作業 で行っております...!合計6個のダイヤモンドがぐるりと配置した、ゴージャスで個性的なリングです。
以上、谷口宝石のジュエリー職人、ティム・フィリップの指輪づくりのこだわりと想いを作品とともにご紹介させて頂きました。
共付け は非常に手間がかかるので、実際にされている職人さんやお店は少ないのではないかと思います。ですが、ティムの言うように「ロウ」を使ってしまうと、確かに指輪に目には見えない切れ目が生じてしまいます。
円の切れ目と聞くと、日本語では「縁の切れ目」という言葉が思い浮かびますね。ティムはよく、指輪は perfect circle であるべき と言いますが、言語や生まれた国が違っても根底にある想いや考え方は同じなのかもしれません。
当店のジュエリー職人、ティム・フィリップがつくるオーダーメイドの指輪にご興味がございましたら、お気軽に谷口宝石までご相談くださいませ。
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